「責任ある機関投資家」としての取組みについて
当社は長年、いちよし証券グループの中で中小型株を主力とした経営戦略を展開し、中小型株投資を通じてお客様・受益者に大きな満足を提供することを主眼としてまいりました。その実現のため、一貫した投資哲学をベースに、徹底したボトムアップ・リサーチを行い、中長期成長力の高い投資対象を発掘、投資することに日々努めております。
ボトムアップ・リサーチの一環として行う企業との対話は、企業価値の向上や中長期的な成長の一助となると認識しており、お客様・受益者の中長期的な投資リターンの拡大に繋がるものと考えております。
当社は、2017年5月に改訂された「責任ある機関投資家」の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード≫の趣旨に賛同し、これを受入れることを2017年6月に表明いたしました。
また今般の日本版スチュワードシップ・コードの再改訂の受入れを表明するとともに、当社の取組方針を改訂いたしました。
機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たすための明確な方針を策定し、これを公表すべきである。
当社は、お客様・受益者から委託された運用資産のパフォーマンスを可能な限り向上させることが、受託者としての重要な責務であり、それを実現するためにも投資先企業の状況やその事業環境等を的確に把握し、本コードにおける運用戦略に応じたサステナビリティ(*1)の考慮に基づく建設的な対話(エンゲージメント)を通じて、企業が付加価値を高め持続的に成長できるよう、可能な範囲で適切なサポートを行う努力が必要と考えております。そのうえで、受託者責任を全うしながら、お客様・受益者の中長期的なリターンの向上に努めることが当社のスチュワードシップ責任であると認識しています。
以上を踏まえ、次に掲げる「スチュワードシップ責任方針」をもって当該責任を果たしてまいります。
(*1)ESG-環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)に関する要素を含む中長期的な持続可能性。
- 当社の投資哲学に掲げる、徹底したボトムアップ・リサーチを行う中で、投資先企業の財務情報に加え、運用戦略に応じたサステナビリティの考慮に基づく建設的な対話(エンゲージメント)などを通じて、投資価値を判断するとともに、企業価値の向上やその持続的成長に資すると考えられる提言や問題提起を積極的に行っていく。
- 将来的に企業価値の向上が期待できる投資対象の売買の判断は、運用方針で許される限り、短期ではなく中長期のスタンスで行うよう努める。
機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たす上で管理すべき利益相反について、明確な方針を策定し、これを公表すべきである。
当社は、お客様・受益者から委託された資産の運用に関して、想定される利益相反の可能性を把握し、適切に管理することが重要と認識しています。 そこで当社は、「利益相反管理方針」を定め、その概要を当社のホームページに公表しています。
上記の管理方針に基づき、以下に掲げる主たる利益相反取引事例について適切に管理し、お客様・受益者の最善の利益を図ります。
- 当社は、お客様・受益者の利益を最優先に業務を遂行しております。当社が所属するいちよし証券グループとお客様・受益者との利益相反の発生を回避するため、グループ会社が発行する有価証券には投資いたしません。
- いちよし証券株式会社が主幹事を務める新規公開株式の取得には、自主規制機関のルールに従いお客様から事前の包括同意を頂き、株式取得後の報告を励行いたします。
- お客様と他のお客様の利益相反発生のリスクを軽減するため、お客様である年金基金等(ファンド)の投資運用においては、当該ファンドの主なスポンサー企業の株式等には投資いたしません。
- ファンド間の利益相反管理として、内部管理部門によるデイリーのモニタリングを実施し、不公正な売買等に繋がらないよう努めます。
- 議決権の行使については、「議決権等行使に関する基本方針」に基づき、所定の判断基準(助言機関からの情報を含め)に従った中立・公平な行使を徹底いたします。また、グループ会社の顧客企業の議決権等行使を、グループ会社からの依頼等により判断基準に反して行うことなどは、社内規程で明確に禁止しています。
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また、当社は、お客様・受益者の利益の確保や利益相反取引の管理のために、以下のガバナンス体制を整備しています。
①議決権行使の原案作成は、運用部門から独立したコンプライアンス・リスク管理部が担当し、内部牽制を図っています。
②利益相反取引の協議機関としてリスク管理委員会を設置しています。
③コンプライアンス・リスク管理部は、利益相反管理の状況に関する報告・調査結果、モニタリングの結果等をふまえ、利益相反管理態勢の実効性を定期的に点検しています。点検結果については、リスク管理委員会に報告します。
④議決権行使等の結果については取締役会に報告し、ガバナンス体制強化を図っています。
機関投資家は、投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果たすため、当該企業の状況を的確に把握すべきである。
国内中小型・新興市場で高いカバー率を誇る株式会社いちよし経済研究所のアナリストは、日々企業経営者や財務担当者と対話を重ね深度ある調査・分析活動を行っております。当社は定期的なミーティング等により同研究所から企業情報の提供を受け、投資候補銘柄を抽出しております。
さらに、当社の運用担当者(ファンドマネージャー、調査担当者)は、中長期に投資する価値があると認められる企業を見出すため、徹底したボトムアップ・リサーチにより投資ユニバース銘柄を選定していきます。
ボトムアップ・リサーチの一環として、運用戦略に応じたサステナビリティの考慮に基づく企業との建設的な対話(エンゲージメント)を積極的に行うことで、企業戦略、業績、資本構造、環境・社会・企業統治(ESG)、事業におけるリスク・収益機会及びそうしたリスク・収益機会への対応等、非財務面をも含む様々な事項に着目したリサーチ活動を行い、課題の把握に努めます。
当社は、スチュワードシップ責任を適切に果たすため、リサーチを通じた地道な対話の中で経営層との関係構築に尽力し、十分な尊重と相互理解を深化していくことも重要と認識しつつ、今後も真摯に対応してまいります。
機関投資家は、投資先企業との建設的な「目的を持った対話」を通じて、投資先企業と認識の共有を図るとともに、問題の改善に努めるべきである。
当社は、投資先企業と「認識の共有」を図るためには、投資先企業の経営や事業に対する深い理解が重要であり、ボトムアップ・リサーチを通じた建設的な対話(エンゲージメント)を重視していくことが必要であると認識しております。
運用担当者(ファンドマネージャー、調査担当者)は不断の研鑽に努め、投資先企業の企業価値向上、持続的成長に繋がるよう、投資先企業の経営課題について対話を行い、投資先企業と「認識の共有」を図ります。
サステナビリティを巡る課題に関する対話に当たっては、運用戦略と整合的で、中長期的な企業価値の向上や企業の持続的成長に結びつく対話が重要であると考えます。
また投資先企業の未公表の重要事実については、対話の中でこれに触れないことを対話の開始時に企業側に伝え、仮に重要事実が開示された場合には速やかに公表するよう求めます。加えて当該情報は社内規程に従って厳重に管理いたします。
機関投資家は、議決権の行使と行使結果の公表について明確な方針を持つとともに、議決権行使の方針については、単に形式的な判断基準にとどまるのではなく、投資先企業の持続的成長に資するものとなるよう工夫すべきである。
議決権の行使は、投資先企業のコーポレート・ガバナンス強化への重要な手段の一つであり、同時に中長期的観点からお客様・受益者の利益に寄与するとの考え方のもと、「議決権等行使に関する基本方針」を設け、中立・公平な議決権行使を徹底するよう努めております。
原則として当社は、議決権行使が可能な株式すべてについて、議決権を行使しています。
「議決権等行使に関する基本方針」は、投資先企業の持続的な成長に資すると判断される場合には適宜見直しを図り、議決権行使結果とともにホームページに公表いたします。
当社は、議決権行使結果に関して個別の投資先企業及び議案ごとに公表します。
利益相反が疑われる事案や議決権行使の方針に照らして、説明を要する判断を行った議案等、投資先企業との建設的な対話(エンゲージメント)に資する観点から重要と判断される議案については、賛否を問わず、その理由を公表します。
機関投資家は、議決権の行使も含め、スチュワードシップ責任をどのように果たしているのかについて、原則として、顧客・受益者に対して定期的に報告を行うべきである。
当社は、当社の「スチュワードシップ責任方針」(原則1)をホームページに常時掲載し、スチュワードシップ活動の状況および「議決権等行使に関する基本方針」に沿った議決権行使結果を、定期的にホームページで報告いたします。
機関投資家は、投資先企業の持続的成長に資するよう、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解のほか運用戦略に応じたサステナビリティの考慮に基づき、当該企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備えるべきである。
いちよし証券グループの経営理念である「クレド」の一つとして、“Long Term Good Relation”を目指した行動指針が謳われております。 投資先企業が持続的な成長を図り、企業価値の増大に資するためには、投資先企業の事業環境等に関する理解や運用戦略に応じたサステナビリティの考慮に基づく建設的な対話(エンゲージメント)を通じ「中長期にわたる良好な関係」構築が重要であると考えております。
当社は、スチュワードシップ責任を果たすための十分な対話や判断を適切に行うことができるよう体制整備を進めてまいります。
運用担当者(ファンドマネージャー、調査担当者)は、このようなプロセスの重要性を常に意識し継続して実践してまいります。こうした活動を通じて、運用担当者(ファンドマネージャー、調査担当者)は、投資先企業との深い相互理解と、対話や判断を適切に行うための実力を常に向上させるべく研鑽を図ってまいります。
当社は、これらの持続的なガバナンス体制・利益相反管理、スチュワードシップ活動等の改善に向けて、本コードの各原則(指針を含む)の実施状況に関し、定期的に自己評価を行い、その結果を投資先企業との対話を含むスチュワードシップ活動の結果と合わせて公表します。
当社の経営陣は、自己評価等の結果を踏まえ、スチュワードシップ活動がより適切なものとするための組織構築、人材育成を推進していきます。
機関投資家向けサービス提供者は、機関投資家がスチュワードシップ責任を果たすに当たり、適切にサービスを提供し、インベストメント・チェーン全体の機能向上に資するものとなるよう努めるべきである。
当社は機関投資家向けサービス提供者ではないため、本原則は当社に適用されません。
以上